2022年9月15日~18日に千葉県・幕張メッセにて東京ゲームショウ2022が開催。今年の出展の大きなトピックのひとつに、コミュニケーションサービスとして知られるDiscordが発出展を果たしたことがあった。
会場では、試遊コーナーが設けられ、『ポケモンユナイト』や『VALORANT』などをプレイしながらインフルエンサーといっしょにDiscordで会話する楽しさを実際に体験可能。さらには、“ワンパス”がお出迎えするなど、にぎやかなブースとなっていた。
今回、Discord イベント・マーケティング・マネージャーのコーリー・カミング氏にインタビューを実施。せっかくの機会ということで、Discordに関するさまざまなことをうかがってみた。
コーリー・カミング氏
Discord イベント・マーケティング・マネージャー
リアルイベントのプランニング担当。イベントをサポートする消費者向け商品企画も担当。
ゲームを始めとして、幅広いコミュニティーに利用されている
――今回Discordが東京ゲームショウに初出展ということで、改めてということで、Discordがどのようなサービスなのか、教えてください。
コーリーはい。Discordはテキストと音声、ビデオチャットなどを提供するサービスです。“人とつながってコミュニティーを作る”ということに特化しています。
Discordがスタートしたのは2015年で、そもそもは高校生の友だち同どうしが、同じゲームをプレイしていて、リアルタイムで戦略を練りたい……というところから生まれたツールです。ゲーム発信のコミュニケーションツールなんですね。
コミュニティーのグループは少人数でも作れますし、それこそ数万人規模の大きな人数でも利用できます。コミュニティーは世界中に公開することもできれば、自分たちだけのグループを作ることもできます。
――7年間のDiscordの進化の歴史は、いかにゲームユーザーに受け入れられていくかということの歴史でもあったと言えそうですね。
コーリーそうですね。ただ、2022年以降はリブランディングをしていまして、ゲーム以外のコミュニティーにも注力しています。実際のところ、Discordの開設以降、ゲーム以外のコミュニティーもどんどん増えてきていたんですね。マンガやアニメ、スポーツ、ビジネス……おもちゃのコレクターのコミュニティーもとても人気があります。そういった人たちにもすべて快適に使っていただけるように……ということで、意識改革をしています。
――ゲームから脱皮をするターンに入ったということですか?
コーリーもちろんゲームユーザーを忘れることはないですし、新機能を開発するときは必ずゲームユーザーを念頭においています。ゲーム以外の利用者も多いので、間口を広げていこうとしています。
――ゲーム関連で言うと、先日XboxでDiscordのボイスチャットが利用可能になることが発表されましたね。
コーリー家庭用ゲーム機でゲームを楽しんでいるユーザーさんは、世界中にたくさんいます。XboxとDiscordとのコラボがスタートしたのですが、これは“ゲームデバイスの枠を越えて、Discordを通してゲームを楽しんでほしい”という思いによるものです。たとえば、『Minecraft』に関して、Xboxユーザー、PCユーザー、モバイルユーザーで語り合ってもらうとか、ひとつのタイトルについて語り合う。そんな楽しみかたをしていただきたいです。
ちなみに、将来的にほかの家庭用ゲーム機とコラボレーションするかどうかについて、いまのところお話しできません。ただ、世界中のユーザーさんに、Discordでゲームを語っていただくというのは、私たちの変わらない目標です。
――そういえば、ゲーム関連で言うと、個人・小規模のゲーム開発者の方から、アーリーアクセスと同時にDiscordサーバーを開設することで、遊んでくれたユーザーからバグ報告や感想をいただけて助かるといったお話を聞きました。コミュニティーということで、幅広い用途で利用されているようですね。
コーリーさきほどお話した通り、もともとDiscordを開発したきっかけというのは、友だちどうしてゲームをプレイしているときに、リアルタイムで会話がしたかったからです。それがそのような使われかたをするということは、正直想定外ではありました。いまは皆さんのアイデアで、いろいろな使われかたがされています。
ゲームだけはなくて、ミュージシャンなどが自分のデモをユーザーさんに聞いてもらい、フィードバックをもらって完成度を高めていくということもあるようです。非常にすばらしいことですね。
――Discordも幅広い使われかたを容認しているとは言えそうですね。
コーリーそうですね。Discordは、少人数から数万人規模まで、柔軟にコミュニティーを利用していただけるプラットフォームです。柔軟にかつ安全に……というのはDiscordの大きな魅力です。
――少しビジネスの話を聞かせてください。世界中でたくさんの人に利用されているDiscordですが、マネタイズで苦戦しているともうかがいます。そのへんの取り組みはいかがでしょうか?
コーリーDiscordは広告のないプラットフォームです。無料で登録ができて、すべての機能を使えるのですが、使っていると、“もっと高い機能がほしい”となる。それに応えるのが“Nitro”です。“Nitro”は、有償のサブスクリプションサービスで、音質と画質がさらにすぐれ、大容量のデータもアップロードできるようになっています。ユーザーさんの“もっと使い勝手がよくなるように”というところでの収益を見込んでいます。
――基本無料で利用できるので、課金となると少し敷居が高くなりそうですね。
コーリーDiscordのファンになって使ってくれればくれるほど、“Nitro”の価値がわかっていただけると思います。Discordでは、ご自身たちでコミュニティーを作っているという感覚があると思うのですが、そのコミュニティーをさらに充実させてくれるのが“Nitro”です。コミュニティーのために課金する感じですね。たとえば、絵文字をたくさん使えるサーバーにしようと思えば、“Nitro”に加入すればGIF絵文字が使えるようになりますし、使用されたブーストの数に応じて、サーバーの機能が拡張される“サーバーブースト”も魅力です。10人でサーバーブーストをやると、ある機能がアンロックされるとか……。みんなで“育てていこう”という感覚が生まれてくるのではないかと期待しています。広告を入れると、そういう気持ちもなくなってしまいますよね。
――それで広告は入れない?
コーリーはい。基本的には使い勝手優先です。ユーザーさんが広告に煩わされないで、ふつうに使っていただけることを主眼としています。“Discordをいっぱい使いたい”と思っていただけることが、ファンを増やすことになりますし、引いては収益にもつながってくるのだと思っています。
日本のユーザーのことを知りたくてTGS2022に出展した
――今回東京ゲームショウ2022に初出展をした経緯を教えてください。
コーリー今回初出展となりますが、もともとは2020年に出展するつもりで動いていたんです。それがコロナ禍で中止になってしまったので、3年越しの企画となりますね。
東京ゲームショウに出展した大きな理由のひとつは、“とにかく日本の市場のことを知りたい”ということがありました。直接ユーザーさんの声を聞くことで、何が必要なのか、ほかの地域との違いは何かということを把握したいと思っていました。 “日本市場をもっと知りたい”ということで、今回ゲームに限らず、いろいろな部署から担当者が来日しています。言ってみれば、絶好の学習の機会ですね。
そのため、ブース構成も、“コミュニケーションを取りたい”という内容になっています。
――まだビジネスデイの最中でありますが(※)、出展してみての手応えはいかがですか?
※インタビューを実施したのは9月16日
コーリービジネスデイであるにも関わらず、非常に多くの方がゲームプレイのための列を作ってくれています。また、たくさんの企業の方から、 “Discordについてもっと話を聞きたい”ということで声をかけていただいています。東京ゲームショウに出展してよかったと思いますし、これからいろいろなことにつながっていきそうです。
――日本市場での課題があるとしたら、どのようなものになりますか?
コーリー日本のユーザーさんには嗜好の違いがあるのではないかとは認識しています。たとえば、世界では誰でも入れる公開サーバーが人気ですが、日本ではある程度クローズドの、どちらかというと、知り合いしか入れないようなコミュニティーのほうが好まれる傾向があるように思います。
Discordの機能に関しても、アメリカ人にはニーズが高いけれど、日本人のユーザーさんはあまり使わないといったものもたくさんあると思うんです。そういったところを、今回の東京ゲームショウの出展でいろいろ知っていきたいとも考えていました。
課題とおっしゃいましたが、大きな問題はないと思っています。違いについて、理解したいと考えています。
――ゲームに限らずですが、今後のDiscordの戦略を教えてください。どのようなことに取り組みたいですか?
コーリーはっきりと、“この戦略を取る”とは、私の口からはお話できないのですが、いつも考えているのは、“Discordというのはとにかくコミュニティーを作る場所”だということです。人々がそこに入ったら気持ちよくお話ができるところ。話が合う仲間がいる場所。“居場所”ですね。Discordでは、そういった居場所を、安全に作れる場所を提供したいです。
さらに言えば、世界中の人たちにはいろいろな趣味や楽しみがあると思うのですが、Discordではそういった幅広いコミュニティーの方に、健全に安全に楽しんでいただけるプラットフォームを育ててきました。それをもっと広げていきたいと思っていますし、ユーザーさんの声を聞いて、いろいろなことを判断していきたいですね。
――ユーザーからの意見は積極的に取り入れるのですね。
コーリーはい。たとえば、新しい機能を実装するときは、いろいろな場所でユーザーさんからの意見を聞くようにしています。基本的には、あらゆるタイプのユーザーさんの声を聞くようにしています。“全員にとっていちばんいい形”というのが理想ですね。
――最後に、日本のファンにメッセージをお願いします。ファンと言っても幅が広いので、Discordを利用している方と、Discordに興味を持っている方に向けて……でいかがでしょうか。
コーリーはい。利用してくだっているユーザーさんに対しては、Discordを見つけて、使ってくださってありがとうございます。日本でもこれからさらに注力しようと思っています。日本のみなさんの声を聞いて、できるだけ反映できるようにがんばっていきたいです。
Discordに興味をお持ちの方に関しては、Discordはゲームはもちろんですが、いまではマンガやアニメ、コレクション系やビジネスなど……幅広いコミュニティーで利用されているサービスになっています。友だちどうしのインターナル(内部)なコミュニケーションにも簡単に使えるので、ぜひ試してみていただきたいです。
Discordは現在1億5000万人のユーザーさんが利用しておりまして、皆さんの趣味に合う、何かが見つかるはずです。80%のユーザーが13歳から24歳という若い世代の利用者が多いのも特徴です。一度使ってみてください。
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