今回,本作のプロデューサーを務めるインティ・クリエイツの會津卓也氏とディレクターの津田祥寿氏,そしてエグゼクティブプロデューサー/アクション監修の稲船敬二氏(LEVEL5 comcept CCO)の3名に話を聞くことができたので,その模様をお伝えする。
3年以上にわたる試行錯誤の末に完成した新アクション「雷霆煉鎖(ライテイレンサ)」
4Gamer:
本日はよろしくお願いします。さっそくですが,「鎖環」を企画した経緯を教えてください。
「ガンヴォルト」シリーズは2014年に1作め,2016年に2作めをリリースしています。おかげさまで,ファンの皆さんに大好評ということで3作めの相談を津田として,2018年ごろから企画を考え始めました。
もともと1作めを作ることが決まったときに,津田には「3作くらいは続けてほしい」と軽く伝えてあったんです。私も経営者ですから,ゲームを1本作ったら,その資産を使って続編を作ると,より少ない予算で済むだろうと考えたわけです。ただ2作めを作ったあとに,津田がアイデアの足踏み状態にハマってしまったんです。
4Gamer:
「鎖環」のプロジェクト始動が発表されたのは2020年6月でしたが,それ以前に開発が進んでいたわけですか。
津田祥寿氏(以下,津田氏):
そうなんですが,発表前の2年間,新主人公・きりんのアクションがなかなか決まらなくて。やはりプレイアブルキャラのアクションはアクションゲームのキモですから,いろいろ試していたんですが,インティ・クリエイツ史上もっとも長い試行錯誤期間になってしまいました。その過程で,どうしてもうまくいかないと稲船さんに相談したりもしましたね。最終的にまとまったのは,2021年の夏です。
會津氏:
プロジェクト始動を発表したときには,まだ全然固まっていなかったんですよ。
津田氏:
今回は,あり得ないくらい作り直しました。寝られない夜がずっと続いて。作っては「やっぱりダメだ」ということを何度も繰り返したんです。ゲームイベントに出展して様子をうかがうことも2回やりましたが,それぞれのために作ったものは全部捨てた感じです。1回めで触ってもらった人が2回めに来たら,「全然ちゃうやん」というくらいでしたね。そのぶん,作り込んだと言えるかもしれませんが。
會津氏:
稲船さんにも,プロジェクト始動の発表のかなり前からアクション監修のお願いをしていたんですが,「これだ!」というものをなかなか持って行けなくて。
「監修してくれ」と言われたのに全然持ってこなくて,「大丈夫か? 進んでんの?」と(笑)。いざ持ってきたものを見たら,迷いに迷っている。「え,これどうなの?」みたいなのを持ってきたので,言いたいことを言わせてもらったという感じですね。節目節目で見せてもらったけど,毎回違うんですよ。これまた「大丈夫か?」と。でも最後には,まとまってて逆に驚いたね。「あれ,まとまったんだ」と(笑)。
會津氏:
稲船さんが毎回方向を示してくださるので,「その方向で1回やってみようか」という感じで進めて,ようやく形になったのが2021年の夏でした。それで「BitSummit THE 8th BIT」で,「雷霆煉鎖」の原型となったアクションの動画を配信したわけです。
津田氏:
そのときはまだ6割くらいの出来で,動きが甘かったんです。アクションの名前もまだ決まっていなくて,暫定で「ワープ斬り」と呼んでいました。そのあと,稲船さんからいただいた「こういう動きにしたらどうか」「もっと派手にしたらどうか」といったご意見をもとに爽快さを出していった結果,1〜2か月後に「これなら行ける」という手応えを感じられました。そこからは早かったですね。
稲船氏:
ワープ斬りのアイデアは面白かったけど,気持ちよく出なかったんだよね。それがもったいなかったので,気持ちよく出せるようにするために,「もっとゆるく考えたほうがいいんじゃないの」という話をして,直してきたものが気持ちよかった。
4Gamer:
「鎖環」では新たにアクションディレクターとして“宮澤名人”こと「Bloodstained: Curse of the Moon」シリーズのディレクター・宮澤拡希さんを起用していますよね。その経緯を教えてもらえますか。
まず,プロデューサーの視点で見たときに,津田はディレクターとしてやらなければならないことが多い。世界観やキャラクターの設定もそうですし,ゲーム全体も見なければなりません。しかし今回は,プレイアブルキャラのアクションをどうするか悩んでいる期間が長くなってしまい,ほかのことが全然進まなくなる可能性があると感じました。
そこで津田と相談して,アクション部分だけを専門で見るディレクターを入れようという話になったんです。また稲船さんも,「もっとアクションに時間を費やしたほうがいい」とおっしゃっていました。それで稲船さんに,改めて宮澤をアクションディレクターとして起用することを相談したところ,GOサインをいただけたので,最終的にプロデューサーの私が決定しました。
稲船氏:
何かね,「アクションのディレクションを任せたい」といって宮澤君を連れてきたとき,會津さんがビクビクしていたんですよ。「合わないんじゃないか」って(笑)。
會津氏:
確かに,そう考えていました(笑)。
稲船氏:
「怒られるんじゃないか」「こんなヤツにやらすなと言われるんじゃないか」って(笑)。
會津氏:
だから,いろいろ説明したんです。「『Curse of the Moon』という別のシリーズで立派にディレクターを務めている人材です」とか。
稲船氏:
そんなことは関係なくて,どういう人間なのかが重要なんです。でも話してみて,しっかり信念のある,やれる子だったんで「いいんじゃない」と。
會津氏:
宮澤は,もともと稲船さんが作っていたゲームのファンで,アクションゲームに造詣が深い人物なんです。
稲船氏:
“遊ぶ”という意味で好きなだけで,アクションゲームをよく分かってないのもいる。そういうのを大勢見ているんで,もし宮澤君がそうだったら困るなというところはありました。でも,彼が入ってよかったんじゃない?
會津氏:
はい,おかげさまで。ただ,宮澤が入ったから万事解決というわけではなかったんです。そもそもスーパーマンである津田がこれだけ悩んでいるところに,入ってきてポンと課題を解決できるスーパーマンなんていませんから。宮澤が入ってきたことで,新たな試行錯誤が始まるわけです。
津田氏:
宮澤が開口一番,「とっちらかってますね」と言ったことが忘れられません(笑)。そこから始めて,かなり綺麗にまとめていったので,宮澤はやっぱりすごいなと。
會津氏:
今回は,プレイアプルキャラ担当のプログラマーも若手を起用しました。それは宮澤の熱量に負けないようにというのもそうですが,キャリアが長いプログラマーだと,どうしても上下関係が生まれて宮澤がやりにくくなるのではないかと考えたからです。業界経験は浅くとも熱量のある若手なので,毎日宮澤とマンツーマンでプログラムをいじっていましたね。3日ごとに,違うプレイアブルキャラが遊べる(笑)。
津田氏:
すごいときは,3日どころじゃなかったですよ。
會津氏:
朝遊んだのと,その日の夜遊んだのがもう違う(笑)。
とくに顕著だったのが,稲船さんに監修していただく直前で,「ああでもない,こうでもない」と,1日に何回もプレイアブルキャラの動きが変わる(笑)。そうやって「これだろう!」というものが決まったら,稲船さんに見ていただき,そのご意見を受けて,またいろいろ作ってみるという流れでしたね。
4Gamer:
とにかく大変だったと。
津田氏:
一言でいえばそうですが……。
會津氏:
一言では片付けられない大変さでした(笑)。
稲船氏:
たぶん,今回が一番大変だったよね。1作めを立ち上げるときも大変だったけど,(制作は)割とすんなり行ったし,2作めもそうだった。
1作めのときは,僕の頭の中で大まかに「こういうゲームにしよう」というものがあったんです。そして2作めのときは,パズルのピースがはまるようにプレイアブルキャラのアイデアが湧いてきて,自分でも「こんなことあるんだ」と驚くぐらいの体験をしました。でも,その次が本当に出てこなくて。
稲船氏:
1作めと2作めでは,アクション監修というほど監修をしてないんですよ。「言いたいことを言わせてもらう」というのを,ずっとやっていただけで。でも「鎖環」は,それまでよりも濃かった。
會津氏:
回数が多かったですからね。
稲船氏:
回数もそうだけど,(作ってるみんなが)悩んでるから何か言わなあかん。1作めと2作めは,見せてもらって「ここは,こうするといいかな。でも,全体的にはいいんちゃう?」みたいな感じが多かったけど,「鎖環」は「アレ?」となったんで,より深く「もっと,こう考えたほうがいいんじゃないの」というような関わり方をしていったんです。
會津氏:
1作めと2作めは,稲船さんから「こうすると,もっとよくなる」といったワンポイントアドバイス的なご意見をいただいていたんですよ。そのワンポイントを最大限活かすためにいろいろ手を入れていました。今回は,基礎の基礎の工事をしている部分から入っていただいたので,ワンポイントでは済まなかったですね。
4Gamer:
いわば,シリーズの中で一番稲船さんの色が濃くなっているタイトルであると。
會津氏:
その可能性は高いですね。ただ,今回は宮澤の色も加わっていますから,そこで薄まっていると思います。
4Gamer:
シリーズをずっとプレイしているファンは,1作め2作めと少し異なる手触り感を楽しめるかもしれません。
會津氏:
そうですね。
剣と護符を使って戦う新主人公・きりん。強い存在として登場するガンヴォルト
4Gamer:
それでは,「鎖環」の主人公・きりんについて教えてください。最初から女性キャラにしようと考えていたのでしょうか。
そうです。Switch版の「蒼き雷霆ガンヴォルト ストライカーパック」を作ったときに,1作めと2作めを単にセットにしただけでは物足りないと個人的に思ったんです。そこで,2作めにもう1体プレイアブルキャラを追加できないか検討したんですが,スケジュールなどいろいろな都合でできませんでした。そのときに考えていたのが,剣を使う女性キャラだったんです。名前がきりんだったかどうかは覚えていませんが……。
會津氏:
名前は,まだ決めていなかったはず。
津田氏:
それで「鎖環」を企画するにあたり,その女性キャラを復活させたいという思いがあったので,立ち上げのプロットの中に「プレイアブルキャラは,剣を使う巫女」と書き込みました。
稲船氏:
最近はジェンダーの問題で,パブリッシャやクライアントなどから「女性キャラを使いなさい」という指示が出ることもあるんですよ。そういった指示は,クリエイターにとってすごく邪魔になる可能性があるんです。無理やり加えると,いろいろな歪みが起きてしまう。これはゲームに限らず,映像作品を含めいろんなところで起きてるんじゃないかな。
でも津田君の場合は,自然に女性キャラを入れるという話になっている。そういう自然な流れが大切なんです。だから「鎖環」は,きりんが主人公でも違和感なくプレイできる。
會津氏:
そうですね。きりんはシリーズに非常に馴染んでいて,物語と世界観からにじみ出てきたものが,最終的な設定や動きに落とし込まれています。
津田氏:
「ガンヴォルト」シリーズの世界は西洋風ですが,設定としては和風の要素も多く,例えば敵対組織の皇神(すめらぎ)グループがそうです。今回,その皇神と対を成す存在として「裏八雲」という影の組織が登場するんですが,きりんはその組織の戦巫女ということで,より和風感が強くなっています。
そんなきりんが思うところあって,暴龍の化身であるガンヴォルトに接触するという流れが,「鎖環」の導入部で描かれます。あまり詳しくは言えないんですが,結果的に1作めのオマージュ的な流れになっていて,個人的には綺麗にまとまったんじゃないかと思います。
4Gamer:
きりんが護符を使うというアイデアは,どのタイミングで出てきたのでしょうか。それが最終的に,きりんが護符で複数の敵をマーキングし,ワープを使ってそれらすべてを一瞬で斬るという雷霆煉鎖になるわけですけれども。
津田氏:
お札のようなものを使うという設定は,初期の初期からありました。「護符で敵を弱体化して斬る」というアクションがベースにあって,それをメインアクションにしようと考えていたんです。ですが,作っているうちに自分で「あまり面白くないかも」と思って,さっきお話ししたとおり長い期間悩むことになりました。
會津氏:
「護符をどう使わせるか」というのが,そもそもハマってしまった理由だったんです。護符と剣を使う場合,護符は護符の攻撃,剣は剣の攻撃と切り分けることが多いんですけれど,それだと「全体として見たときに,うまくいってない」という意見が社内にありました。稲船さんにお見せしたときも,あまりいい反応は得られませんでした。
4Gamer:
動画では,雷霆煉鎖を使わなくともゲームを進められるという発言もありましたが。
津田氏:
これは宮澤が言ったんですけれど,「剣戟のスラッシュアクションだけでも楽しいけれど,雷霆煉鎖を使うとより楽しい」をコンセプトに掲げていました。3連撃や空中斬りといったいろいろな剣戟技があるので,敵をバッサバッサと斬っていくだけでもそれなりに楽しめます。と言っても,雷霆煉鎖も決して難しいわけではないので,雷霆煉鎖と剣戟技を織り交ぜながら戦うことでより面白くなります。
會津氏:
雷霆煉鎖はすごく強いですし,爽快なアクションではあるんですが,一長一短はあるんですよ。つまりワープを使って敵を斬るということは,敵の懐に飛び込むということで,「今は飛び込めない」という瞬間が絶対発生するんです。ボス戦がいい例で,そういうときに剣戟技を使うと被弾リスクを抑えられるわけです。
津田氏:
上級者になると,雷霆煉鎖だけで地面に着地せずにステージの最後まで行ける。そんなゲームを目指しました。ただ宮澤が作っているので,雷霆煉鎖だけのプレイは難度が極めて高く,僕自身はできません。できる人は本当にすごいというような調整を,いま進めているところです。
4Gamer:
それでは,シリーズを通しての主人公・ガンヴォルトについても教えてください。
會津氏:
まだ,あまりお話できないんですが,「ガンヴォルトは“最強の第七波動(セブンス)能力者”という設定だけど,アキュラのほうが強いんじゃない?」と言われがちなんです。それを津田が気にかけていて,今回は本当に強いガンヴォルトが登場します。
津田氏:
半分ネタみたいに言ってましたけど,本当にそんな感じになりました。ガンヴォルトは常に強くて格好いい存在であり,操作していて気持ちいいプレイアブルキャラにするという方針のもと,いろいろ要素を足していったらそうなりました。
會津氏:
ガンヴォルトについては発売直前,または発売後にお伝えできると思います。
4Gamer:
分かりました。それでは今回,きりんとガンヴォルトを切り替えながらゲームを進められるということですが,プレイヤーの任意で切り替えができるのでしょうか。
津田氏:
条件のあるケースも多少ありますが,基本的には1ボタンで自由に切り替えられます。ゲームの序盤からガンヴォルトで進めても問題ありません。
會津氏:
ただ,ゲームの最初はきりんだけでプレイすることになります。ゲームを少し進めると,何らかの形でガンヴォルトが使えるようになるわけです。
津田氏:
この仕様は僕が決めたんですけれど,一時期は宮澤が「ガンヴォルトがこんなに強いのに,きりんをわざわざ使う人なんているのか」と悩んでいましたね。
會津氏:
最終的には,いいところに落ち着いて,ガンヴォルトは最初から強いわけではなく,いろいろ条件を満たしていくと強くなるという形になっています。
シリーズの人気キャラクターを召喚する新要素「イマージュパルス」
4Gamer:
新要素の「イマージュパルス」についても教えてください。
津田氏:
ガンヴォルトがこれまでに出会ってきた仲間やライバルをイメージ化して呼び出し,それぞれが持つ能力を発動させるシステムです。大きく分けて,装備することで能力を発揮するものと,呼び出して使うものがあります。
會津氏:
「シリーズの人気キャラクターを登場させるといいんじゃないか」「過去のドット絵データを活用できないか」といった理由から,企画が進みました。ただインティ・クリエイツの悪い癖で,過去の資産が使えるという理由で始めたのに,なぜかもう一度ドットを打ち直すということをやっています(笑)。
津田氏:
今までドット絵になっていなかったキャラクターもたくさんドット絵化していて,「何でやねん!」と(笑)。
會津氏:
資産を使い回すために始めた企画なのに,使い回せないキャラクターのほうが多かった(笑)。
4Gamer:
ゲーム中で「記憶のかけら(イマージュジップ)」を集めて,イマージュパルスを開放していくコレクション要素とのことですが,一度入手してしまえば,2周め3周めといった周回プレイでも使えるというイメージでしょうか。
津田氏:
そうです。
4Gamer:
150種類以上の多様な効果を発揮できるとのことですが,つまりそれだけのイマージュパルスがゲーム中に隠されていると。
會津氏:
隠されているというよりは,条件を満たすと獲得できるといった感じですね。
4Gamer:
ほかに「鎖環」の新しい要素はありますか。
津田氏:
「ガンヴォルト」シリーズには,華麗なプレイを続けていると「クードス」が蓄積され,歌姫・モルフォが歌ってくれるというシステムがあります。今回はアクションがあまり得意ではないという人や,シリーズの初心者であっても比較的歌ってもらいやすくなっている,という調整を施しました。宮澤が作るとどんどん難しくなるので,僕のほうから提案した調整です。
4Gamer:
歌ってもらえると,プレイしていて嬉しいですからね。
津田氏:
シリーズのセールスポイントの1つですから,ぜひ聴いていただきたいという気持ちもあります。
會津氏:
今はもう,そういった細かな調整をしている段階ですね。
津田氏:
ゲームとしてはほとんど完成しているので,より間口を広げるような調整を目指しています。
4Gamer:
そのほか,「鎖環」についてアピールしたいことがあれば,ぜひ。
會津氏:
改めてアピールしておきたいのは,「鎖環」が「ガンヴォルト」シリーズのナンバリングタイトルであり,2作めである「爪」の正統な続編だということです。発表したときに「ライブノベル,復活したんだ」といったご感想を目にしましたが,ライブノベルは復活したわけではなく,もともと「ガンヴォルト」シリーズのセールスポイントの1つなんです。
「白き鋼鉄のX」シリーズは,「ガンヴォルト」シリーズのスピンオフで,アクションゲームファンに向けて作っているゴリゴリのアクションゲームです。そこを混同することだけは,避けていただきたいところです。なので,これまでの「ガンヴォルト」シリーズの世界観やアクションが好きだったという皆さんは,ぜひ「鎖環」を遊んでいただきたいと思っています。
次の代にどう譲るか,どう伝えるかが大切
4Gamer:
話がイマージュパルスに戻ってしまうのですが,これはある意味,「ガンヴォルト」シリーズの集大成的な要素でもありますよね。
會津氏:
まさにそうだと思います。
4Gamer:
最初に,3作めくらいまでは続けようという話をしていたとおっしゃっていましたよね。それで集大成的な要素を打ち出すとなると,これで「ガンヴォルト」シリーズが終わりなのかという心配が出てくるのですが。
會津氏:
それは分かりません。ファンの皆さんの要望や売上によって,シリーズを続けるかどうかを検討します。ただ2作めの発売から「鎖環」の発売までに6年かかっていますから,そこからまた6年だと津田が定年退職してしまうんですよ。
津田氏:
若手スタッフがすごく伸びてきているので,彼らに道を譲る可能性もあります。
會津氏:
そうですね。4作め以降は津田が作るものではなくなっているかもしれませんし,津田が「6年もかかりませんよ」となるかもしれません。そこはまだ,何とも分からないです。
4Gamer:
またパズルのピースがはまるように,津田さんにアイデアが湧くかもしれませんよね。それを稲船さんが面白いと言えば,どんどん話が進むと。
會津氏:
もし次が決まったら,すぐに稲船さんのところに持っていって監修をお願いします(笑)。
お互いいい年齢になっているから,次の代にどう譲るか,どう伝えていくかが大事だよね。「自分が作りたいから」といって作り続けてもやっぱり先がないんで,自分が作れるものと同じかそれ以上のものを作れる人材を育てていかないと。
會津氏:
その意味では,「ガンヴォルト」チームは結構育ってきているので,もう津田が作らないといっても,「自分が作りますよ」という人材が出てくるかもしれません。
津田氏:
宮澤を筆頭に,僕から見ても「すごい」「もう僕がやらなくていいじゃん」と感じる人材が育ってきていて,「いいなあ」と思っています。
稲船氏:
「やらなくていい」じゃなくて,「役割を変える」と言わないと(笑)。
會津氏:
本当にそこが大切で,今の「ガンヴォルト」シリーズは,インティ・クリエイツにある各部署のトップがキャラクターデザインやプログラムなどを手がけているんです。そんな人達をまとめられる,彼らより経歴があって誰もが実績を認める人材が,正直なところ津田くらいしかいないんです。
ただ,各部署のトップをすべて後に任せるという形にするのであれば,社内での位置付けも変わることになりますし,次のディレクターは津田でなくても大丈夫かもしれません。
津田氏:
だから今回は最後までやりきろうと頑張ってきましたが,正直,もう倒れそうな気がしなくもないです(笑)。
會津氏:
倒れないでくださいよ(笑)。
4Gamer:
それでは最後に,「鎖環」および「ガンヴォルト」シリーズに注目している人に向けて,メッセージをお願いします。
津田氏:
「ガンヴォルト」シリーズを作るにあたり常に考えているのは,「歯応えのあるアクションを楽しめる人」と「アクションゲームがあまり得意ではないと思っている人」の双方に遊んでほしいということです。もちろん「鎖環」もそう考えて作っていますので,アクションゲームがあまり得意ではないと思っている皆さんにも,遊んでいただきたいです。ぜひよろしくお願いします。
會津氏:
今回はSwitch版のみと対象プラットフォームが少なくなっていますが,1つのプラットフォームに向けて作ってきたので,非常に細かいところまで作り込まれています。
また今回はダウンロード版とパッケージ版に加え,特典を同梱した限定版も発売されます。また,店舗特典もたくさんご用意しました。ぜひご自身のほしい特典の付く店舗で──次,重要ですよ──“予約”していただけると嬉しいです!
稲船氏:
このシリーズはレトロなドット絵のゲームで,30年以上前の昔懐かしいファミコンやスーパーファミコンくらいの“良さ”があります。そのころの横スクロールアクションは,日本のゲームの中で一番輝いていたジャンルだと思います。その“良さ”を残しつつ,今の時代に合わせた世界観やキャラクター,あるいは歌を歌わせるといったファミコンやスーパーファミコンではできなかったゴージャスさを,すごくうまく融合したタイトルになっています。
アクションゲームとしては当時の懐かしいアクションが楽しめて,全体的には今のゲームとして味わえる。さらには,シリーズに初めて触れる人もそれらをすべて楽しめるし,すごくシンプルなアクションゲームなので“昔懐かしの〜”みたいなことを考えなくても楽しめます。そのあたりを意識してプレイすると,本当の「ガンヴォルト」を理解してもらえるんじゃないかなと思います。ぜひチャレンジしてほしいですね。
4Gamer:
ありがとうございました。
からの記事と詳細 ( 「蒼き雷霆 ガンヴォルト 鎖環」のキーパーソンにインタビュー。6年を経て発売に至る経緯とは - 4Gamer.net )
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