時代の流れか、昨今はパソコンのキーボードにも静音化の波が徐々に来ていると感じることがある。それはボールペンの世界も同じ傾向だ。まあ、過去を振り返れば数年おきにやってくる筆記系道具の静音化の一つだと思えば、それほど大きな潮流ではない。
インイヤーオーディオの世界にも、そこはかとなく似た展開を感じるこの頃だ。一時は耳の穴の奥深くに確実に突っ込むカナル型の大攻勢だったが、過激過ぎたのか、昨今では耳たぶにクリップするだけのBGMのようなサウンドを好むユーザーも少なからず居る。
ロック系カナル派の筆者から見れば、極めて腑抜けた音に感じるが、さまざまな社会的変化から、多くはないが“Extreme”(過激な)を避けて“Comfortable”(心地よい)とDelicacy(繊細さ)を望む声が社会全般に登場してきているのも新しい現象だ。
そんな混沌とした時代に、メカニカルキースイッチの“青軸”を採用を打ち出した10桁電卓を手に入れた。商品ブランドである“Lofree”という名前が本体にも記されている。メカニカルキースイッチというイメージには似つかわしくないまん丸い外観とファンシーカラーのミスマッチも楽しい電卓だ。
同梱物は本体と取説だけ。電卓プチマニアの筆者は、ブラウンのアンティーク系の電卓が好きでほんの数台だけコレクションしている。Lofree電卓は、ブラウンと同じく丸型キーだが、パソコン用のキースイッチを採用している関係で、圧倒的にキートップが大きく、ストロークの深さも圧倒的だ。
パソコン系のメカニカルキースイッチの好きな筆者は、秋葉原のキーボード専門店で販売していたDIYモデル6桁電卓(TENTAKU)も使っているが、こちらは世界標準にのっとりキースイッチもキーキャップ独自に選べるタイプのものだ。
筆者は、ソリッドなカチッという多少重いクリック音と確実なタクタイル感のあるチェリーの緑軸を使用して組み立てた。本体の重量やコンポーネントの高い密度と相まって、打鍵の感覚は極めて高級感のあるサウンドだ。難は表示桁が6桁しかないことだろう。
Lofreeの駆動パワーはDIY電卓と同じく単4乾電池1個だ。底面のカバーを外して電池を入れる。実際にLofree電卓を仕事にしばらく使ってみた。加減乗除の四則演算に加えてGrand Totalキーで総合計を計算できる一般的な形式だ。機能的には10桁もあれば筆者には十分だ。
実際に1週間ほどLofree電卓を使ってみての不満は当初の予想通り、チェリー互換の青軸キースイッチの感触と音だ。機構的には本物にかなり近い互換キースイッチなのかもしれないが、キーを押したときの音が極めて軽い。また電卓の筐体が反響しやすく多少ノイジーでカチッとした音のソリッドさを欠いているように感じてしまう。
しばらく様子を見て、手先の多少不器用な筆者にもできそうならば、20個の青軸互換キースイッチを全て本物のチェリー青軸か緑軸に変更して、同時に本体のデッドニング処理も多少施し、理想的なクリアでソリッドな音のする10桁電卓に改造してみたい。
ユニークなチェリーのタッチ&フィールや独特の打鍵サウンドにそれほどのこだわりがなければLofree電卓はそれなりに入力のクリック感もあり、ストロークも満足な深さを実現しているので、購入時の状態で使っても全く大丈夫だ。
指先と耳に聞こえる音のこの手のこだわりは、追及し始めると到達点が見えなくなるきらいがあるので要注意でもある。Lofree電卓は、購入してそのまま使うのもベター、将来の改善や改良を考えながら、日々使ってゆくメカニカルキー採用の電卓としてもベストプロダクトだ。
製品名 | 発売元 | 実売価格 |
---|---|---|
Lofree電卓 | Lofree | 3999円 |
からの記事と詳細 ( パソコンと同じ青軸系の心地よいキースイッチを採用した10桁電卓 - ケータイ Watch )
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