ソニーの最新ハイエンドスマートフォン「Xperia 1 III」。ドコモ版(SO-51B)発売日の7月9日に、ドコモオンラインショップから自宅に届いた。それから1カ月、毎日使い込んでいる……と言いたいところだが、ここのところのコロナ禍であまり外に出る機会もなく、ハードに使いこなせてはいない。
それでも1カ月間使い続けてきた結果、いくつか見えてきたことをご報告したい。
Xperia 1 IIIのココが魅力
Xperia 1 IIIは、ソニー渾身のハイエンドスマートフォン。プロセッサSnapdragon 888を搭載して、メモリは12GB、ストレージが256GB。5GはSub-6とミリ波にも対応し、下り最大4.2Gbps、上り最大480Mbpsに対応するなど、スペックに隙はない。
個人的には、ミリ波とワイヤレス充電に対応する点を評価している。スペックとしては「Galaxy S21+」でも同様だが、21:9のディスプレイやカメラ機能、細かい点では「外部モニター」機能に引かれて購入した。
カメラ機能にも注目したい。現在となっては数少ない、独立したハードウェアのシャッターキーを搭載する「Xperia」シリーズだが、シャッターキー長押しでカメラが起動してそのまま撮影できるのはやはり便利。正直、他のスマートフォンもカメラ機能をアピールするならハードウェアキーは必須だろうとまで思ってしまうほど快適だ。
画面上に指が触れていてもシャッターボタンで撮影ができるのはありがたい。一般的なスマホカメラだと、気付いたら画面内に指が触れていてうまくシャッターが切れなかった、ということもあるが、Xperia 1 IIIだと物理的なキーがあるので、画面内に触れていても半押しでAF、全押しで撮影がそのままできて使いやすい。
「Xperia 1」シリーズでは独特なカメラアプリ「Photography Pro」が搭載されていたが、Xperia 1 IIIでは標準のカメラアプリと統合された上で、「BASIC」モードが追加された。これによってPhotography Pro内で動画撮影とセルフィー撮影ができるようになったのもうれしい(Xperia 1 IIでは通常のカメラアプリに切り替える必要があった)。
ただ、わざわざBASICモードに切り替えて自撮りや動画を撮影するのは一手間かかる。それよりも、シャッターキーがあるXperia 1 IIIなら、メインカメラを自分に向けて撮影することもできる。実際の撮影結果を確認しながらの撮影はできないが、筆者は他人に見せるような自撮り撮影をしないし、頻繁に自撮りをしないので問題は感じない。
逆に頻繁に他人に見せるような自撮りをする人や、撮影結果をあらかじめモニターで確認しながら撮影したい人は、BASICモードを常に使えば、普通のスマートフォンカメラとして使える。シーン認識による画像補正は、基本的にBASICモードで動作するようなので、そうした点でも、特に手軽に撮影したい人はBASICモードがよさそうだ。
筆者の場合、撮影はほとんど「P」モードを使っている。これは、露出補正が簡単にできるからだ。Photography Proの場合、画面を左右に分割した左側にライブビュー、右側にデジカメのような操作パネルが表示される。この上部に露出補正バーが常時表示されていて、簡単に露出補正ができるのだ。
露出補正が手軽にできると撮影の幅が広がるので、重要なポイントだ。今までのスマホカメラで使いづらかった露出補正が使いやすいのはとてもいい。
画質に関しては、ハマったときは想像以上にうまく描写してくれて、スマートフォンカメラとしては十分以上だ。超広角(16mm)から望遠(105mm)までカバーするのもうれしい。
個人的に気に入っているのは「外部モニター」機能。USB経由で画面出力を行うUVC規格に対応したデジカメとUSBケーブルを接続し、カメラの外部ディスプレイとして利用する機能だが、USB Type-CとHDMIの変換アダプターを使えば、HDMI端子搭載デジカメを接続して、外部モニターアプリでカメラの画面をそのまま表示できる。
デジカメより大画面でライブビューができることがメリットだが、Android標準の「スクリーンレコード」機能を使えば、デジカメの操作をそのまま記録できるのが便利。同様のことができる外部アプリはあるのだが、デフォルトで外部モニター機能が使える点はうれしいポイントだ。
YouTubeなどを視聴しているときに、スピーカーの音が良くなったと素直に感じられるのもよい点だ。
全体として、まさにハイエンドという感じで、これ1台を持っておけば困ることはないだろうと思う。何らかの問題は出てくるかもしれないが、1カ月程度ではそこまで見えていない。
カメラ機能が魅力的なXperia 1 IIIだが、弱点もある。
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Xperia 1 IIIのココが不満
いくつか気になった点はある。Xperia 1 IIIは、今となっては唯一の3大キャリア共通端末。そうなると、各社のネットワークに対応しているはず――なのだが、伝統的(?)にXperiaは、各社のネットワークに最適化されてキャリアに納入されている。つまるところ、キャリアごとに対応バンドが異なるのだ。
国内の5Gではn77(au、ソフトバンク)とn79(ドコモ)、4Gではバンド18/26(au)、19(ドコモ)、8(ソフトバンク)、11(au、ソフトバンク)、21(ドコモ)があるが、Xperia 1 IIIでは他キャリアのバンドに対応していない場合がある。
筆者の持つドコモ版Xperia 1 IIIは、auやソフトバンクのSIMで使うとn77エリアで5G通信ができず、4Gもauのバンド11、18/26とソフトバンクのバンド8に対応していない。ドコモとソフトバンクに納入されているシャープ製「AQUOS R6」は、どちらかのキャリアが非対応のバンドにも一部は対応している。もちろん、「iPhone」シリーズは1種類で全キャリアをサポートする。
これはXperiaシリーズに限った話ではないのだが、いずれにしても、ドコモ版で買ったからにはドコモのネットワークで使うのがベスト、というのがXperia 1 III。ちょっともったいない点だ。
シングルSIMというのもいただけない。iPhoneのように、デュアルSIMでeSIM対応、というのが現状のスマートフォンの最適解だろう。
カメラを使っていての欠点としては、4K(3840×1644ピクセル)という高解像度ディスプレイを搭載したせいか、直射日光下で画面が見えにくかった点が上げられる。高解像度化すると開口率が低下するため、最大輝度にしてもそれほど明るくならないこと。画面がほとんど見えないときもあった。
デジカメのライブビューではよくあることだが、同時に使っていた別のスマートフォンでは最大輝度にして画面が確認できたことを考えると、残念な点ではある。デジカメのように、手でひさしを作って影にして対処するのが手間ではある。
発熱に関しても気になるところ。ケースを装着していると手に伝わる熱量はさほどでもないが、ケースを外してみると思ったより熱くなっていることがあった。ただ、頻繁にあるわけではなく、ケースを装着している限りはそれほど気にはならなかったし、その結果の問題もあまり感じていない。
発熱量の多さは、バッテリー駆動時間の短さにもつながっている印象がある。頻繁に使っていると、1日は持たないだろう。使わずに放置していたときのバッテリー消費も気になった。
Snapdragon 888を搭載しているスマートフォンに共通して困る点が、炎天下でカメラを起動していると、発熱によってしばしば終了すること。Xperia 1 IIIに限った話ではないので、Snapdragon 888の発熱量が大きいものと思われる。Snapdragon 888以外でも発生することはあるが、頻度は高いイメージがある。
カメラという意味では、AFは高速で人間や動物などを幅広く検出してくれるのだが、ジャスピンでない写真もけっこうあって、AF精度が少し低い点が気にかかった。
大きな不具合らしきものは感じていないので、基本的には快適に使えている。「全部入りのXperia」として満点とは言えないが、満足できる製品だ。
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