3月27日に発売した「MacBook Air(2020)」。店頭販売される2モデルのうち、上位構成(Core i5モデル)を数回に分けてレビューしている。
今回は、新しいMacBook Airのセールスポイントの1つとなっている「新しいMagic Keyboard」をチェックしていく。
パッと見で分かる変化点は“1箇所”
先代の「MacBook Air(2019)」や、そのベースとなった「MacBook Air(2018)」では「バタフライキーボード」が採用されていた。
バタフライキーボードの利点は、キーボードモジュールを薄型化できることと、キーをどの位置から押し込んでもしっかりと打ち込めることにある。一方、欠点としては、タイプ音が大きいこと、キーを強く押し込む癖のある人との相性が悪いことと、ホコリや異物が入り込んだ場合に不具合が発生しやすいことが挙げられる。
とりわけ、ホコリや異物が入り込んだ場合の不具合は深刻で、初期〜中期のバタフライキーボードを採用したMacBookシリーズでは、無料修理プログラムが用意されている。
不具合を受けてか、「16インチMacBook Pro(2019)」では、バタフライキーボード以前に搭載していた「シザーキーボード」が、改良された上で“復活”している。MacBook Air(2019)にも、改良シザーキーボードが搭載されている。
では、改良されたシザーキーボードは、バタフライキーボードと何が違うのか。パッと見で分かるのは1箇所しかない。方向(矢印)キー周辺部だけだ。
シザーキーボードを採用するMacBook Air(2019)では、左右の方向キーのサイズがメインの文字キーのサイズとそろえられている。上下の方向キーの2倍のサイズということだ。方向キーがこのようになっているキーボードは、WindowsノートPCでも珍しくはないが、方向キーの押し間違えが増えてしまうというデメリットを抱えている。
一方、シザーキーボードに戻ったMacBook Air(2020)では、方向キー回りも以前のデザインに戻された。左右の方向キーのサイズが上下の方向キーと同じサイズとなり、下の方向キー側に寄せられたことで、方向キーを押し間違えるリスクが軽減された。
見た目では分からない「うち心地」の変化
先述の通り、バタフライキーボードはキーを強く押し込む癖のある人との相性が悪い。キーストローク(キーの押し込める深さ)が非常に浅いからだ。
キーストロークが浅いと、キーがすぐ底を打ってしまい、キーを押し込む強さを吸収しきれない。結果として、打てば打つほど疲れがたまってしまう。正直に告白すると、筆者個人としては、バタフライキーボードのキーストロークの浅さには全く慣れることができなかった。
それに対し、MacBook Air(2020)のシザーキーボードでは、約1mmのキーストロークを確保している。人によっては「え、たった1mmなの?」と思うかもしれないが、筆者としてはわずか1mmのストロークが、打ちやすさに大きく貢献したと感じる。従来のシザーキーボードよりもとても心地よく文字を打ち込める。キーを打つ音も、わずかではあるが静かになった。
個人的な欲をいえば、キーストロークは2mm近く(普段使っているノートPCとほぼ同じだけ)確保してほしいと思わなくもないが、従来モデルのサイズ感を保ちつつ改善するとなると、現時点ではこれが限界とも考える。
とはいえ、繰り返しになるがバタフライキーボードよりも打ちやすくなっているはず。特に、キーボードのストロークの浅さでMacBook Airを敬遠していた人は、量販店などに展示されている実機でぜひ「打ち試し」をしてみてほしい。
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