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Monday, March 2, 2020

超小型PC「GPD P2 Max」とシウマイ弁当は共存できるかをやってみた - ITmedia

 GPD Pocket2 Max(以下、GPD P2 Max)の「Max」たるゆえんの1つ、「システムメモリの増量とストレージ接続バスの高速規格採用」「ディスプレイのサイズアップ」の効果を前回の記事で検証した。

 この処理能力の向上の他にも、というか、こちらこそ本題ともいえる「ディスプレイのサイズアップ」に伴う「キーピッチとレイアウトの変更」「本体のサイズアップと重量増」が携行利用に及ぼす影響を考察する。

GPD P2 Max 2560×1600ピクセルでほぼ9型の液晶ディスプレイを備え、キーボードの手前にはパームレストとタッチパッドを並べるなど、いよいよクラムシェル型ノートPCとそっくりになってきたGPD Pocket2 Max(GPD P2 Max)

3歩進んで2歩下がったキーボード

 7型から8.9型にサイズアップしたディスプレイを搭載したことで、最も影響を受けたのがキーボードだ。とはいえ、キーピッチは実測で約17mm、キートップのサイズが約14mmとGPD Pocket2と同等である。“なんとか”ストレスなくキータイプができるぎりぎりのサイズといえるだろう。

 なお、キーストロークは実測1mm程度で、指を押し込むと「うん、キーを押している」と十分に認識できるほど軽くはないが、キーを押し込んでも揺らいだりがたついたりすることはなく、押し切って本体がたわむこともない。安心してタイプできる。

GPD P2 Max GPD Pocket2と比べ、意外にもキーピッチやキートップのサイズは変わらず、キーの数はかえって減っている。写真は上位モデルのブラックだ
GPD P2 Max こちらは従来モデルのGPD Pocket2のキーボード

 本体サイズに伴ってキーボードが受けた最も大きな影響は、キーレイアウトの変更だ。特に本体の幅がGPD Pocket2の約181mmから206mmに増えたことで、記号キー(アルファベット以外のキー)の配置が大きく換わっている。

 GPD Pocket2では、通常のキーボードで最上段になる数字キーの上にもう一段設け、そこに記号キーを移設していた他、一部の記号キーはスペースキーの脇やカーソルキーの一部と混在する状況だった。

 一方、GPD P2 Maxでは、カーソルキーがその他のキーと離れた場所に“独立”し、「、」「。」など、日本語入力(そして英語入力)で多用するキーが正規の位置といえる「M」キーの右隣りに用意した。

 キーボード手前には、パームレストとタッチパッドを用意した。GPD Pocket2のポインティングデバイスは、キーボード奥の右端に光学センサー方式のポインティングデバイスを設け、左端に左右のクリックボタンを備えていたのと比べると、普通のクラムシェル型ノートPCと共通するレイアウトになった。

 実際に使ってみると、パームレストに手を置くようなスタイルにはならないが、ホームポジションに手を置いた状態から、手をさほど動かすことなくタッチパッドを右人差し指で操作できるため意外と使いやすい。その代わり、GPD Pocket2は立って本体を両手で持った姿勢でも使えたが、GPD Pocket2 Maxではそれが難しくなった。

 ポインティングデバイスとパームレストを設けた影響で、キーボードは5段レイアウトになった。それもあって、GPD P2 Maxにおけるキーの数はGPD Pocket2より少なくなっている。その“しわ寄せ”で「一部の機能キーがFnキーとの同時押しで有効」という仕様になってしまった。

 この対象となった機能キーが「〜」「−」「_」「=」「+」「{」「}」「[」「]」「Delete」だ。この中で日本語の文章入力で多用するのが「−」とカギ括弧だろう。キーの場所がそれぞれホームポジションの右人差し指近くにあるのでタイプしやすいが、FnキーがCtrlキーに右隣で、左小指でも左親指でも微妙にタイプしにくい場所にあるため、文章入力の流れがいったん止まってしまう。

 今回の評価作業中も、できるだけGPD P2 Maxで原稿を入力するようにしていたが、それでもこのスタイルに慣れることはできなかった。

GPD P2 Max 「このサイズでこの位置にタッチパッドっすかー」と思ったが、これが意外と使いやすかったりする。タッチパッドのサイズは約61(縦)×35(横)mmを確保する

 キーの配置で、もう1つだけ気になったのがAltキーだ。通常のキーボードではスペースキーの左右両脇にAltキーが存在するが、ノートPCでは省スペース化を優先するので、どちらか一方がない場合も多い。

 筆者の経験では、このとき左のAltキーを残す製品が多かった。そのため、Altキーを伴う操作(アプリケーションのメニューを呼び出すなど)は「左手の親指でAltキーをタイプする」動作に慣れている。ところがGPD P2 Maxは右Altキーだけなので、Altキーを伴う操作で戸惑うことが多かった。

 ただし、こちらは評価作業の終盤で何とか指が慣れることができた他、右側にしかAltキーがないことを体が覚えさえすれば「Altキーと間違えてWindowsボタンを誤爆することがない」というメリットもある(それまでは、Altキーと間違えてWindowsボタンを誤爆しまくっていた)。

GPD P2 Max キーボード右上に配置する電源ボタンには、指紋センサーが組み込まれている。写真はCeleron 3965Yを搭載した下位モデルのシルバーだ

 続いて、ボディーサイズと重量アップの関係を見ていこう。

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サイズアップと重量増は持ち歩き利用にどう影響?

 GPD P2 Maxは、8.9型で2560×1600ピクセル表示の液晶ディスプレイを搭載した。ほぼ9型で、あと4センチ大きければ10.4型ディスプレイとほぼ同じサイズになる。7型ディスプレイを備えたGPD Pocket 2の本体サイズは約181(幅)×113(奥行き)×8〜14(厚さ)mmで、重量が約510gであったのに対し、GPD P2 Maxは約206(幅)×149.5(奥行き)×5.5〜14.2mm、重量が約650gとそれぞれ増えている。

 たしかに、フットプリントはノートPCで最も小型の部類になる10.4型や、最近モバイルノートPCで主流になりつつある12.1型前後のディスプレイを搭載したモデルと比べたら依然として省スペースといえる。

 フットプリントが省スペースというのは、“街使いPC”の使い勝手という意味では意外と重要な要素だ。その点、GPD P2 Maxは、街カフェの小さなテーブルでコーヒーカップと同居できるだけでなく、新幹線のテーブルで新横浜駅から乗り込む乗客にとって必須アイテムといえる「崎陽軒のシウマイ弁当」とも共存可能なのを今回の検証作業では確認している。新幹線ウォーカーにとって、駅弁とPCが共存できるか否かは、作業効率向上において非常に重要ポイントといえる。

GPD P2 Max 新幹線のテーブルでシウマイ弁当と共存できた。これは画期的なことである

 一方で、本体の重さは約600g台後半まで増えてしまった。超小型PCの分野で競合するOne-Netbook Technologyもディスプレイを8型級にサイズアップしたモデル「OneMix3」「OneMix3 Pro」でも、本体の重量が600gを超えている。GPD Pocket2 Maxが突出して重いというわけではないが、ポケットに入れて持ち歩くのはちょっと無理がある。

 検証作業中、寒い日が続いたこともあってかなり厚手のダウンジャケットを羽織って外出する機会が多く、「これだけ厚手ならばGPD P2 Maxでも耐えられるかな」と思い、ポケットに入れて持ち歩いてみた。しかし、サイズ的にはダウンジャケットのポケットにすっぽり入ったものの、さすがに重く、GPD P2 Maxを入れた側に崩れていってシルエットが崩れるだけでなく、ダウンジャケットを脱いだり着たりする動作も面倒に感じるほどだった。

 結局、カバンに入れて持ち歩くのが妥当ということになった。そうなると、あと100g重くして10型以上のディスプレイを搭載したクラムシェル型のモバイルPCが存在する。「持ち歩きを楽にするために超小型PCを選ぶ」という需要にとってGPD P2 Maxは微妙な製品となるかもしれない。

 なお、持ち歩き利用で重要になるバッテリー駆動時間をBBench 1.0.1を用いて測定した。ディスプレイ輝度は10段階の下から6レベル目に設定し、電源プランはパフォーマンス寄りのバランスとしている。

 測定結果は、上位のCore m3-8100Y搭載モデルで4時間52分40秒、下位のCeleron 3965Y搭載モデルで5時間24分30秒となった。どちらにしても終日“無補給”で全力使用するには足りない。

 本体右側面にあるUSB Type-Cは充電用としても使用できるので、手持ちのモバイルバッテリーで充電は可能だ。ただし、その場合モバイルバッテリーがUSB Power Delivery出力(少なくとも5V 3A給電)に対応している必要がある。

 ボディーの“大型化”がトレンドの超小型ノートPCだが、各社はゲーミングモデルの投入を相次いで発表している。2020年の新モデルはどうなるのか、動向が気になるところだ。

GPD P2 Max 本体にはUSB PD準拠のUSB充電アダプタとケーブルが付属する。GPD P2 Max本体に記載してある給電仕様には「5V 3A」とあった

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