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Tuesday, December 1, 2020

「パスワード付きZIP」廃止、じゃあどうすりゃいいのか(OneDrive編) - @IT

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パスワード付きの暗号化ZIPファイルを送る場合の問題点

■記事内目次


対象:Windows 10、OneDrive


 他人に見られたくないファイルをリモートの相手に渡さなければならない場合、従来は暗号化ZIPファイルとその解凍パスワードをメールで送る、という手段が広く用いられてきた。読者諸氏もそのようなメールを一度は受信したことがあるだろう。

 しかし、ZIPの暗号化など運用に手間がかかるわりにセキュリティが十分ではない、と指摘されることが多い。そこで、この方法でファイルを送るのは止めよう、という機運が高まっており、実際、内閣府と内閣官房ではこの手法を廃止すると発表している。

 とはいえ執筆時点では、「これだ!」と断言できるような、代わりのファイル送信方法が確立しているわけではない。特に中小企業や個人だと、代替の方法が有償だったりシステム更新に手間がかかったりすると、おいそれと置き換えられない場合が多いだろう。できることなら、すでにある機材やソフトウェア、利用中のサービスなどで代替したいところだ。

 そこで本TIPSでは、Windows 10に標準装備されているオンラインストレージ「OneDrive」を使って、ファイルを送信する方法を採り上げたい。OneDriveは、Windows 10搭載PCを所有しているなら、容量は限られるものの、無償で利用できる。OneDriveでファイルを送信するとき、どの程度のセキュリティが確保できるのか、どれくらい手間がかかるのか、セキュリティを高めるにはどうすればいいか、といった観点で説明したい。

 ファイルを送信する側は、Windows 10でOneDriveを利用しているユーザーを対象とする。受信する側はWebブラウザさえ使えれば、機種やOSなどは問わない。また、Microsoft 365(Office 365)の企業向けプランに付属する「OneDrive for Business」は対象外とする。

ファイル送信に利用できるOneDriveのファイル公開機能とは

 OneDriveには、ストレージ内に保存したファイルに対し、以下のような一意のURLを付加して、そのURLでファイルを参照できるようにする「公開」機能がある。

https://1drv.ms/b/s!BB_9VsjZqvv0wLvsgQe9VzBm1sLq?e=pn0VmwFYlRKgFMUOReUwjA&at=9

OneDriveによるファイル公開URLの例


 この公開URLを作成する際、ファイルを送りたい相手にメールで公開URLを伝えることが可能だ。そのメールを受信した相手は、公開URLをWebブラウザで開き、対象のファイルをダウンロードして入手できる。

OneDriveのファイル公開機能を利用してファイルを送信する OneDriveのファイル公開機能を利用してファイルを送信する

 ところでOneDriveのメニューやヘルプでは、この機能のことは「共有」と称されている。ただ実際には、ファイルに付けられたURLを知った人なら誰でも開くことができる(後述するようにパスワード認証を設定できなくはないが)。本稿ではそうした実態に合うように、この機能のことを「公開」と呼ぶことにする。

●プランによって異なるOneDriveのファイル公開機能

 この機能をファイル送信に使う場合、OneDriveのプランに注意する必要がある。OneDriveには幾つかのプランがあり、それによって、このファイル公開機能の仕様が異なるからだ。

 本稿で対象としているOneDriveのプランには、無償のBasicプランと、有償で100GBまで利用できるStandalone 100GBプラン、そしてMicrosoft 365 Personal(Office 365 Solo)に付属しているプランの3種類がある。もし、Microsoftアカウントで料金の支払いを設定することなくOneDriveを利用しているなら、Basicプランが選択されているはずだ。

 ファイル公開機能については、Microsoft 365 Personal(Office 365 Solo)付属プランだとファイル公開の有効期間(期限を過ぎたら自動的に公開停止)やパスワード認証が設定できる点が大きな違いだ。

  Basicプラン(無償)/Standalone 100GBプラン(有償) Microsoft 365 Personal(Office 365 Solo)付属プラン
公開URLを作成してファイルを公開
指定した有効期限後、公開URLを自動的に無効化 ×
公開URLを開く際に独自のパスワードを設定 ×
プランによるOneDriveのファイル公開(共有)機能の違い

 そのため、ファイル公開機能を使ってファイルを送信する場合、Microsoft 365 Personal(Office 365 Solo)付属プランの方が漏えいの危険性を低く抑えられる。

  Basicプラン(無償)/Standalone 100GBプラン(有償) Microsoft 365 Personal(Office 365 Solo)付属プラン
公開URLの送信先を間違えた場合 × ○(パスワードを設定し、それを正しい相手に伝える必要あり)
送信時点で、相手のメールボックスがのぞき見されていた場合 × ○(パスワードを設定し、それをメール以外で伝える必要あり)
後日、公開URLを記したメールが漏えいした場合 △(あらかじめ決めておいた期限を過ぎたら、手動で速やかに公開を停止するかファイルを削除する必要あり) ○(有効期間を適切に短く設定する必要あり)
ファイルにマルウェアが混入していた場合 ○(OneDriveのサーバとWebブラウザ、クライアントデバイスのウイルス対策でスキャン可能) ○(サーバとWebブラウザ、クライアントデバイスのウイルス対策でスキャン可能)
ダウンロードされたファイルが、その後、漏えいした場合 × ×
漏えいやマルウェア感染のパターンとそれに対するOneDriveの各プランの「強さ」
○: 漏えいや感染を防げる。△: 漏えいや感染を防ぐには、やや難しい条件がある。×: 漏えいや感染を阻止できない。

 一方、BasicプランやStandalone 100GBプランでは、パスワード認証が利用できない。そのため、例えば公開URLを誤って別の人に送ってしまうと、誤送信に気付いて公開を止めるまで、その人による対象ファイルのダウンロードは阻止できない。また有効期間も設定できないので、あらかじめ決めておいた期間を過ぎたら、手動で公開を止めるべきだ。ずっとファイルを公開し続けた場合、暗号化ZIPファイルとその解凍パスワードを同じ宛先にメール送信するのと同様で、情報漏えいの危険性が高くなってしまう。この点には十分注意する必要がある。

送信したいファイルの公開URLをメールで送る

 それでは、OneDriveのファイル公開機能で相手にファイルを送るための手順を説明しよう。まずエクスプローラーでOneDriveフォルダを開き、ファイル公開専用のサブフォルダを作成する(ここでは「url_public」としている)。不特定のフォルダでも公開そのものは可能だ(「個人用Vault」のフォルダは公開できない)。しかし、特定のフォルダ以下だけで公開ファイルを管理した方が、公開を停止する際などに漏れなく対応しやすく、より安全だろう。

 次に、公開先の相手に応じたサブフォルダを作成する。このとき、各フォルダ名は当たり障りのない名称にすることをお勧めする。受信する相手がMicrosoftアカウントでサインインした状態で公開ファイルを開くと、このフォルダ名がWebブラウザに表示されるからだ。

 フォルダを作成したら、そこに送信対象のファイルを保存する。それを右クリックして表示されるメニューの[共有]をクリックする。「リンクの送信」ダイアログが表示されるので、あとは以下の画面のように設定する。なお、ファイルではなくフォルダでも公開は可能だ(フォルダ内の全ファイルが公開される)。

 注意が必要なのは、デフォルトで送信先の相手が編集できる状態でファイルが公開されることだ。単にファイルを閲覧してほしいだけで、書き換えられたくない場合は、[リンクを知っていれば誰でも編集できます]をクリックして「リンクの設定」ダイアログを開き、[編集を許可する]チェックボックスからチェックを外して「オフ」にすること。逆に、相手と共同でファイルを更新していくつもりなら、編集を許可したまま公開しても構わない(ただし、相手にもMicrosoftアカウントが必要。またファイルではなくフォルダ単位で公開した方が扱いやすい)。

●Microsoft 365 Personal付属プランなら有効期限とパスワードの指定が可能

 前述のようにMicrosoft 365 Personal(Office 365 Solo)付属プランの場合、ファイルを公開する期間を限定したり、閲覧時にパスワードを要求したりできる。

 それには、前述の手順でエクスプローラーからOneDriveの共有ダイアログを開き、[リンクを知っていれば誰でも編集できます]をクリックして表示される「リンクの設定」ダイアログで、以下の画面のようにそれぞれ設定する。

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