最終赤字6712億円。日産自動車の昨年度の決算は、販売不振に加えて巨額の構造改革費用を計上し、およそ20年前、経営危機に陥ってルノーから資本を受け入れた当時に匹敵する赤字となった。ゴーン元会長の事件以降、混乱が続いてきた日産は、今回、立て直しに向けて「量から質」への転換を図る2023年度までの中期経営計画を打ち出した。改革のキーパーソン、アシュワニ・グプタCOO=最高執行責任者に決意を聞いた。(経済部記者 大江麻衣子)
“現場”の声
そして、三菱自動車のCOOをへて、去年12月、内田誠社長に次ぐ日産のナンバー2の立場に。連合を組む各社の事情に精通しているのが強みだ。
今回のインタビューは英語で行ったが、日本語も堪能で、中期経営計画の策定にあたっては、国内外の工場などを回り、“現場”の声をくみ取ることに力を尽くしたと言う。
グプタCOO
「私は自分を“現場の人(Gemba Guy)”だと思っていて、COO就任直後から、工場や研究開発センター、販売会社などに足を運びました。そこで見えてきたのは、最新の運転支援システムなどの技術面の強みや、すぐれた従業員たちの姿です。一方で、発売から年数のたった車齢の高い車が多いという指摘も受けましたし、ゴーン元会長の事件を受けて、従業員の間で、日産の将来への不安やいつ業績が回復するのかといった声が強いことも分かりました。そこで中期経営計画では、明確なビジョンを設定し、従業員全体に改革への参画意識を持ってもらうことを目指したのです」
規模から価値へ
ゴーン元会長時代の拡大路線は裏目となり、700万台規模の生産能力に対して、昨年度の販売は500万台を下回る状況になっていた。
抜本的な立て直しは急務だったが、ゴーン元会長の事件のあと混乱の収束に時間を取られてしまっていただけに、今回の中期経営計画は、危機感を持った構造改革を打ち出せるかが焦点だった。
グプタCOO
「今回の経営計画、「日産ネクスト」で最も重視しているのは、企業文化を“volume”(販売台数)から“value”(車の価値)へと変えることです。変革を組織に根づかせ、従業員全体を巻き込んでいくことが重要です。世界の自動車市場は、新型コロナウイルスの感染拡大による影響で、2020年度は20%ほど減少する可能性があると見ています。ただその後は、2023年度に9000万台の水準に回復するでしょう。その中で、6%の市場シェアを確保し、年間540万台の販売を目指していきます。この目標に合わせて整合性を取って生産ラインの整理を進めていくつもりです」
新型車でてこ入れを
一方でグプタ氏が強調するのは、今回の中期経営計画が「単なるリストラではない」という点だ。
新型車の投入は向こう18か月で12車種と一気にペースを上げ、高いとされた車齢も今の「5年」から「4年以下」へと下げることを目指す。モデル数を減らして効率化を進めるが、強みとする電動化や運転支援技術への投資を集中させ、SUVなどの新型車に搭載していく方針だ。
グプタCOO
「経営の効率化と、先端技術への投資は両立させていかなければいけません。新たな経営計画は単なるコストカットではなく、選択と集中とともに将来の成長に向けた種もしっかりとまいていきます。最近発売した新型車は、各地域で勢いがあります。7月に発表する電気自動車「アリア」も、日産の強みである運転支援技術などを備えていてダイナミックな走りを楽しんでもらえるでしょう。電気自動車で日産は「リーフ」の経験を持っていますから、アフターサービスなどの面でも信頼を得られると思っています」
コロナ禍での改革
改革を着実に進めるためにも、会社として開発や販売への影響を最小限に抑える取り組みを徹底していくと言う。
グプタCOO
「事務職の在宅勤務は比較的進めやすいのですが、開発部門では、在宅勤務でも開発を継続させることが課題でした。そのため、インフラを整備し、自宅でもCAD(設計ソフト)が使えるようにして新商品の開発に影響が出ないようにしました。開発中のSUVのデザインは、世界に9つある拠点をオンラインでつないで評価し、承認したのです。これまでオンラインでは出来ないと思っていたことが実現できました。顧客対応の面でも世界中でオンラインによる販売を始めています。新型コロナウイルスが終息したとしても、こうした効率化は継続的に取り組んでいくことになるでしょう」
問われる実行力
日産は、20年前に経営危機に陥って以来の大改革を迫られている。その決意をグプタ氏に問うと、こう答えた。
グプタCOO
「COOとして、“規模から価値へ”の企業文化の変革を広げていくことに最優先に取り組んでいく」
業績の回復に取り組みながら、電動化など100年に1度の変革期と言われる自動車業界を勝ち抜く投資もしていく必要がある。
早期に業績を立て直し、次の成長への道筋を描けるか。グプタ氏、そして日産にとって力量が問われる4年間となる。
経済部記者
大江 麻衣子
平成21年入局
水戸局 福岡局を経て
現在、自動車業界を担当
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