離れたところにいる家族や友人のPCを遠隔操作してトラブルを解決するリモートアシスタントアプリにはいくつかありますが、Windows 10/11であればMicrosoft製の「クイック アシスト」を使うのが便利です。というのも、このアプリにはいくつかの利点があるからです。
- (多くのWindowsデバイスで)標準搭載されている
- グローバルショートカットキー[Windows]+[Ctrl]+[Q]が設定されている
リモート支援を行う場合、相手はPCにあまり詳しくないことが多いでしょう。そのため、「LINE」通話で手順を教えながら相手にリモートアシスタントアプリをインストールさせるのは困難を極めます。もしサードパーティー製のリモートアシスタントアプリがすでにインストールされていたとしても、[スタート]画面から探し出して起動するのは難しいでしょう。
その点、「クイック アシスト」アプリならば多くのデバイスにプリインストールされており、[Windows]+[Ctrl]+[Q]キーで呼び出せます。
実際に母に試してもらった
今回はそれを証明するため、田舎に住む母に協力してもらい、実際にリモートアシスタントを行ってみました。
いきなり失敗……「クイック アシスト」アプリがPCにインストールされていない
「クイック アシスト」アプリは「Windows 10 Anniversary Update」(バージョン1607)から標準搭載されているはずですが、残念ながらインストールされていないこともあるようです。不幸なことに母のPCはこれに該当してしまったようで、「クイック アシスト」アプリのインストールが必要でした。
とはいえ、「クイック アシスト」アプリは「Microsoft Store」で公開されていますので、導入はまだ簡単です(Web検索させると変な広告を踏み、あらぬところに飛ばされてしまうことがある……)。「ストア」アプリ(Microsoft Store)を起動して検索ボックスに「クイック」などと入力してもらったところ、「クイック アシスト」アプリがマッチして、無事インストールすることができました。
ここまで1時間弱ほどの時間がかかっていますが、結構順調ですね。
ショートカットキーの押し方を丁寧に説明する
次の難関が、ショートカットキーを押してもらうことでした。慣れたユーザーにとっては簡単でも、「複数のキーを同時に押す」という操作は実際のところなかなか難しいものです。
そのため、懇切丁寧に、順を追ってショートカットキーの押し方を説明する必要があります。
- まず[Windows]キーを押して、そのままにする
- その状態をキープしたままで、[Ctrl]キーを追加で押す(キーボードの左下にある「シーティーアール」というヤツ)。キーはまだ離さない
- その状態をキープしたまま、[Q]キーをポンと押す(数字の「9」ではない!)
それでも10回ほどうまくいかなかったのですが、これは母が器用にも デスクトップの[スタート]ボタン をタップしながら[Ctrl]+[Q]キーを押していたからでした。
最近のPCはタッチパネルでも操作できるので、[Windows]キー(なんか窓のようなアイコンのヤツ)といったときに[スタート]ボタンを推してしまう可能性があります。一つ学びを得ました。
このプロセスは15分ほどでクリアできたと思います。1度習得してしまえば簡単だったようで、母はまたたくまに[Windows]+[Ctrl]+[Q]キーの達人になりました。
最後の難関:パスキーを入力してもらう
さて、ここまでくれば「クイック アシスト」アプリの起動は簡単、華麗な手つきで[Windows]+[Ctrl]+[Q]キーを押してもらうだけです。
ただし、「クイック アシスト」アプリは現在、内部で利用しているHTMLレンダリングエンジンを「WebView2」(Chromium)へ移行中で、「新しいバージョンのクイック アシスト」という画面が表示されることがあります。新バージョンを未導入の場合は[Microsoft Store を開く]ボタンでインストールを、すでに導入している場合は[いますぐ起動します]というリンクをクリックして新バージョンに切り替えましょう。この作業はいずれ不要となるはずです。
「クイック アシスト」アプリを起動すると、「支援を受ける」と[支援を提供する」というオプションが表示されます。
支援を提供する場合は、[他のユーザーを支援する]というボタンを押し、6桁のセキュリティコードを発行してもらいましょう。ちなみに、このコードの発行には「Microsoft アカウント」が必要です。
次に、支援を受ける側(筆者の場合は母)にセキュリティコードを伝え、「アシスタントからのコード」というテキストボックスに入力してもらいます。まず、全部で6桁であることを伝え、次に相手のキータイプ速度も考えながら、「AppleのA」などといったようにわかりやすく、1文字ずつ伝えましょう。管制官などを経験したことのある母ならば、フォネティックコードなどを用いてもよいでしょう。
セキュリティコードの入力が完了すると、サポートする側の画面が更新され、共有オプションを選択できるようになります。通常は「完全に制御する」を選び、リモートPCを直接操作してトラブルを解決することになるでしょう。
あとは相手(支援を受ける)側で[許可]ボタンを押してもらえば、リモートコントロール画面が表示されるはずです。
最後に[Windows]+[Ctrl]+[Q]キーで「クイック アシスト」アプリを利用する上で注意すべき点を、もう一度まとめておきましょう。
- 「クイック アシスト」アプリがインストールされていない場合がある。その場合は「ストア」アプリからインストールさせる
- キーボードショートカットの入力方法を事前に軽く訓練しておく
- 「クイック アシスト」アプリは新版に移行中。そのため、アプリ切り替えやインストールの手間はあるが、これは将来的には解決される見込み
- セッションを確立(リモート接続を完了)するまでには、支援側・被支援側の双方で操作が必要。相手の状況だけでなく、自分のモニターも確認しながら作業を進めること
慣れないユーザーのリモート支援には苦労しますが、[Windows]+[Ctrl]+[Q]キーで少しでも楽をしていただければと思います。
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