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Tuesday, May 5, 2020

アップルは新型13インチ「MacBook Pro」の投入で、“問題のキーボード”と完全に決別した|WIRED.jp - WIRED.jp

アップルが新しい13インチの「MacBook Pro」を静かに発表した。最大の特徴は、問題の多かったバタフライキーボードに別れを告げ、古くから使われてきたシザースイッチ構造を採用した点にある。

WIRED(US)

MacBook Pro 13

PHOTOGRAPH BY APPLE

アップルが主力製品である13インチ版「MacBook Pro」の新モデルを発表した。5月4日の朝(米国時間)に予告なく実施された発表からは、いつものようにちょっとした改良と進化が明らかになった。

今回の発表の究極的な意義は、この新モデルに何が追加されたかということよりも、むしろ何が取り除かれたかにある。アップルはあの使い勝手の悪い、イライラする、極めて壊れやすいバタフライキーボードを、ついに葬り去ったのだ。

最初から不評だったバタフライキーボード

バタフライキーボードは、アップルが2015年に初めて投入した。革新性を打ち出していた高価な「MacBook」の目玉となる機能だったが、それは最初から賭けだったと言える。

一般的なノートPCのキーボードは、古くから使われてきたシザースイッチ(パンタグラフ)構造を採用している。シザースイッチでは、2つの交差するプラスティック部品が、すべてのキーの下にある膜の上に配置される。キーを押すと、プラスティックの部品がビーチチェアのように畳まれることで、キー入力が認識される。シザースイッチは、カチャカチャと音を立てるメカニカルキーボードよりも静かで目立たないという理由で、標準的なキーボードになった。

ところが、ジョナサン・アイヴがデザインを統括していた時代の後期に入っていた5年前のことだ。当時あらゆる製品に求められていたかのように見えた省スペース至上主義に影響され、アップルはこう考えた。キーがもっと薄くなったらどうなるだろうか──。

その答えがバタフライキーボードだった。実際にキーボードは、40パーセントも薄くなった。キーの中央をまっすぐに押し下げると、プラスティックの支持構造がキーを押すたびに羽根のように上下に動く。そんな構造に置き換えたことで、省スペースを実現したのだ。

評判は最初から悪かった。『WIRED』US版の当時のレヴューでは、「キーを使うのがすぐに嫌になった」と評価されている。「基本的に移動距離がなく、動きがない。タッチスクリーンをタップする感触と変わらない」というのだ。そして、これは少数意見ではなかった。

とにかく壊れやすかった

それでもバタフライキーボードは生き残った。そして拡充されていったアップルのノートPCのラインナップの大半が、最終的にはこのキーボードになったのである。

ところが、打ちにくさなど小さな問題だったことが、まもなく明らかになった。さまざまなジャーナリストが指摘したように、バタフライキーボードは壊れやすかったのである。とにかくひどく、何度もである。

バタフライ構造は、確かに省スペースにはなった。しかし、まるで害虫を誘い込むかのように、さまざまなごみをキーの間にはさみ込んでしまったのである。いったん入り込んだほこりやごみは取り出すことができず、影響を受けたキーは押せなくなってしまう。

この問題が、多くの人たちに極度のストレスをもたらした。こうした欠陥は2018年までに、3件の集団訴訟をもたらしている。

“失敗”を認めたアップル

このキーボードは、アップルが暗黙のうちに“失敗”を認める事態を引き起こした。アップルは2018年6月、「MacBook」と「MacBook Pro」の9モデルを対象に、購入から4年間有効のキーボード無償修理プログラムを開始したのだ。

それから1カ月後、アップルは新型「MacBook Pro」で問題のキーボードを改良し、ごみが入り込みにくくするためにバタフライ構造の上に薄いシリコン膜を付け加えた。これは効果があったものの、決して十分ではなかった。

こうしてアップルは昨年11月、16インチの新型「MacBook Pro」で「Magic Keyboard」という新しいキーボードをデビューさせた。ついにバタフライ構造に別れを告げ、再びシザースイッチを採用したのである。

今年3月に発売された新型「MacBook Air」も同様だった。そしていま、数カ月にわたる最後の孤独な抵抗を経て、13インチの「MacBook Pro」もバタフライキーボードを捨てることになった。

キーボードだけではない

新型の13インチMacBook Proにおいて最も重要な進化のポイントはキーボードだったが、ほかにも改良点はある。上位モデルではインテルの第10世代Coreプロセッサーを採用しており、グラフィックス性能もそれに見合ったものになっている。

標準ストレージも旧モデルから倍増となる256GBのSSDになり、4TBまで増やすことができる。RAMについては初めて最大32GBまで選択可能になった。

「Touch Bar」は残ったものの、少なくとも物理的な「Esc」キーも備わっている。そして前モデルと同様に、USB-CとThunderbolt 3を兼ねるポートもある。残念な点があるとすればウェブカメラで、解像度がいまだに平凡な720pにとどまっている。「Zoom」の時代に、これではまったく足りない。

新型の13インチMacBook Proは1,299ドル(日本では13万4,800円)からで、学生・教職員向けの割引を受ければ1,200ドル(同12万3,800円)から購入できる。バタフライキーボードの愛好家もきっと存在するに違いないが、もしあなたがそのひとりなら、しばらくはアップルの整備済製品コーナーで旧モデルを選ぶこともできるだろう。

結論を言えば、総じてかなりわかりやすい改良ばかりだといえる。もっとも、長年の「frind」に重要な「mssag」を送ろうとしている最中に「E」キーが使えなくなる心配がないのは、何ごとにも代えがたい安心感がある。
 
※『WIRED』によるアップルの関連記事はこちら

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May 05, 2020 at 03:00PM
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